「求人を出しても人が集まらない」「採用してもすぐ辞めてしまう」
「欠員を社員や店長の残業で補っている」「人件費は増えているのに生産性が上がらない」
小売業の経営・人事・店舗運営に携わる方から、よく寄せられる声です。
小売業では、人手不足が慢性化すると、採用費だけでなく店舗運営そのものにもさまざまなコストが発生します。
こうした状況では、単純な採用費だけでなく、人手不足によって店舗全体で発生している総コストを把握することが重要です。
特に経営者や人事・店舗運営部門にとっては、人材を「給与」という単一のコストではなく、採用・教育・欠員・残業・生産性低下などを含めて考える必要があります。
本記事では、流通・小売業界の人材派遣に15年以上携わってきた株式会社エムアールエスの実務経験を踏まえ、小売業の人手不足コストを採用費・欠員損・人時生産性の観点から計算・整理する方法を解説します。
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1.人手不足は「採用できない」だけの問題ではない
人手不足によって1名の欠員が発生すると、店長や社員が穴を埋めるために残業したり、他店舗から応援スタッフを手配したりする必要があります。
さらに、本来行うべき売場管理、発注・在庫管理、スタッフ教育、店舗改善などに使える時間が減少し、レジ待ちや品出しの遅れ、接客品質の低下につながる可能性もあります。
つまり、人手不足のコストは「採用費」だけではありません。店舗運営への影響まで含めて考えることが重要です。
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2.人手不足によるコストを4つに分ける
人手不足によるコストは、大きく次の4つに分類できます。
① 採用コスト
求人広告費だけでなく、採用担当者の工数、面接、応募者対応、入社手続き、入社後の教育などもコストになります。
求人広告費+採用業務の社内工数+教育コスト
という視点が必要です。
② 欠員コスト
例えば、1日8時間勤務のスタッフが月20日必要な場合、1名の欠員によって月160時間を他の従業員が補うことになります。
残業で対応すれば残業代が発生するほか、店長や社員が本来の業務に使える時間も減少します。
したがって、欠員コストは代替要員の人件費だけではないことに注意が必要です。
③ 生産性低下によるコスト
人手不足が長期化すると、「人時生産性」にも影響する可能性があります。人時生産性とは、従業員が1時間働くことでどれだけの成果を生み出しているかを見る指標です。
粗利益1,000万円 ÷ 総労働時間5,000時間 = 2,000円/人時
必要な業務まで削って労働時間を減らせば、売場管理や接客、品出しなどに影響し、売上や粗利益の低下につながる可能性があります。
④ 既存従業員への負担増加
欠員を既存従業員で補い続けると、残業増加や休みの取りにくさ、業務量の増加につながります。その結果、離職が発生すれば、さらに採用・教育が必要になります。
人手不足 → 既存従業員の負担増加 → 離職 → さらに人手不足という悪循環を防ぐことも重要です。
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3.人手不足による総コストを計算する
例えば、ある店舗で1名の欠員が3か月続いたとします。
・月間欠員時間:160時間
・社員による代替対応:100時間
・残業単価:2,000円
・採用広告費:10万円
・採用担当者などの社内工数:5万円
・教育コスト:5万円
この場合、残業によるコストは、
100時間 × 2,000円 × 3か月 = 60万円
採用・教育コストは、
10万円+5万円+5万円=20万円
となり、合計で80万円です。
さらに、欠員による売場管理の不足や店長・社員の業務時間減少などがあれば、追加の機会損失が発生する可能性があります。
つまり、「1人採用するのにいくらかかるか」だけでなく、「1人不足していることでいくら損失が発生しているのか」を比較することが重要です。
※上記は考え方を説明するためのモデルケースであり、実際のコストは企業・店舗によって異なります。
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4.「採用するコスト」と「採用しないコスト」を比較する
人手不足への対応では、
「人を採用するといくらかかるか?」
「採用しない場合、店舗はいくらのコストを負担するのか?」
という視点が必要です。
人材を確保すれば給与や派遣料金などが発生します。一方、欠員を放置すれば、残業コストや社員の負担が増え、店舗運営や人時生産性に影響する可能性があります。
そのため、単純な「時給の安さ」だけでは人材戦略を判断できません。
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5.直接雇用だけでなく「人材派遣」も選択肢に
人手不足への対応は、必ずしも直接雇用だけではありません。
・長期的に必要な人材 → 直接雇用
・繁忙期だけ必要な人材 → 人材派遣
・急な欠員への対応 → 人材派遣
・新店舗の立ち上げ → 人材派遣
・採用が難しい地域・職種 → 人材派遣
というように、店舗の状況に応じて人材確保の方法を使い分けることができます。
人材派遣は時給だけを見ると直接雇用より高く見える場合があります。しかし、直接雇用にも求人、採用、雇用手続き、教育などのコストが発生します。
重要なのは、採用から就業、教育、欠員リスク、店舗運営への影響まで含めた総コストで比較することです。
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6.人手不足対策は「人件費削減」ではなく「店舗の生産性」で考える
人手不足になると「どうすれば人件費を減らせるか」と考えがちです。しかし重要なのは、単純な人件費削減ではありません。
例えば、売上・粗利益を維持しながら必要な労働時間を削減できれば、人時生産性は向上します。一方、必要な人員まで減らせば、レジ待ち時間の増加、品出しの遅れ、接客品質の低下、店長・社員の負担増加などにつながる可能性があります。
セルフレジやセミセルフレジなどの省人化設備も、導入するだけで生産性が上がるわけではありません。シフトや店舗オペレーションとの組み合わせが重要です。
「何人減らせるか」ではなく、「必要な人員でどれだけの成果を生み出せるか」という視点が求められます。
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7.小売企業が確認したい「人手不足コスト」チェック項目
自社店舗の人手不足によるコストを把握する際は、次の項目を確認してみましょう。
採用関連
・求人広告費
・採用・面接担当者の工数
・入社手続き
・教育研修費
欠員関連
・欠員時間
・店長・社員の残業時間
・他店舗からの応援時間・交通費
店舗運営関連
・売場作業や品出しの遅延
・レジ・接客への影響
・店長・社員の管理業務時間の減少
生産性関連
・売上/人時
・粗利益/人時
・部門別人時生産性
・人件費率
・必要人時と実績人時の差
これらを月単位・店舗単位で確認すれば、「人が足りない」という感覚的な問題を、具体的な経営数字に置き換えることができます。
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8.まとめ|人手不足は「採用問題」ではなく「店舗運営コスト」の問題
小売業の人手不足を考える際、採用人数だけを追いかけるのでは十分ではありません。重要なのは、
採用コスト+欠員コスト+残業コスト+教育コスト+店舗運営への影響+生産性への影響
まで含めて、人手不足による総コストを把握することです。
そのうえで、
「直接雇用するのか」
「人材派遣を活用するのか」
「業務を効率化するのか」
「店舗オペレーションを見直すのか」
を判断することが重要です。
人手不足を「人が足りない」という現場の問題だけで終わらせず、店舗運営コストと人時生産性の問題として数字で捉えること。
それが、限られた人材を有効に活用しながら、店舗運営を安定させるための第一歩です。
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9.自社の「人手不足コスト」を一度整理してみませんか?
株式会社エムアールエスでは、小売業・流通業を中心に、店舗運営に必要な人材の確保を人材派遣という形でサポートしています。
「採用しても人が集まらない」「慢性的な欠員が発生している」「繁忙期だけ人材を確保したい」など、人材確保に関する課題がございましたら、お気軽にご相談ください。
【無料相談・資料ダウンロード】
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【会社概要】
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執筆
株式会社エムアールエス マーケティング戦略課 主任 H・O
プロフィール
小売業で30年のキャリアを持ち、エリアマネージャーとして多数の店舗管理を主導。経営会議への参画や全社的な販売計画書の策定を通じて、店舗現場から経営戦略まで幅広く精通する。現在は流通・小売業界に特化した人材ソリューション事業にて、店舗運営支援や人件費・採用適正化の分析・執筆を担当。現場視点と経営視点を融合させた実践的な情報発信を行っている。
主な支援先
国内の大手・中堅スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター
監修者
株式会社エムアールエス マーケティング戦略課 Y・M
プロフィール
小売業界歴20年|店舗運営・人材育成の現場エキスパート
小売業界で20年にわたり、店長・ブロック長・エリア長・教育担当として、店舗運営と人材育成に携わってきました。
新店立ち上げ時のスタッフ教育、既存店スタッフの接客・CS教育、新入社員研修など、店舗現場における人材育成を幅広く経験。全国約300店舗を対象としたCS施策や臨店指導、8店舗のエリア統括にも携わりました。
ドラッグストアでは、人事部の教育担当として中途採用社員や新店従業員の教育を担当するとともに、店長として従業員管理・予算管理も経験しています。
保有資格・免許
・中学校教諭一種免許状(国語)
・高等学校教諭一種免許状(国語)
・医薬品登録販売者
・食品衛生責任者
・酒類販売管理者
・レクリエーション介護士2級
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運営会社: 株式会社エムアールエス
編集担当: マーケティング戦略課